小菅六雄 市議: 一般質問2007.12議会一般質問文■企業立地促進法に基づく企業誘致について 質問 野洲市が産業経済省から、「企業立地法」に基づく計画認定を受けました。これにより、市内の野洲駅北口周辺と篠原駅周辺地域にIT企業を集積し、企業誘致をします。雇用創出や税収増でまちの発展につながると鳴り物入りで推進されようとしていますが、これまでの企業誘致の功罪のうえに立ち、野洲市のまちづくりのあり方の検証が必要です。 認定を受けた野洲市の計画では、オムロンや京セラがある野洲駅北口周辺の45fと村田製作所のある篠原駅周辺110fの合計155fの2地域に、IT関連企業の集積を図り、2012年までに5社を集積・誘致するというものです。そこで、今回の企業誘致と集積について、課題と問題点を明らかにして、質問を行います。 1点目に、全国的に多くの自治体で、開発優先の行政が推進されてきました。その際たるものが企業誘致です。企業誘致で「雇用も税収も拡大する」との論理です。そのため、自治体間で誘致合戦が行われ、誘致企業への「補助金条例」を制定し推進されています。野洲市でも、「工業振興条例」を制定し企業へ補助を行っていますが、平成17年度と18年度で、2億7000万円を補助。今後、平成19年度分を含め、新たに11億8700万円の補助金支出が必要となります。しかし、税収や雇用効果が不透明であり、なおかつ、財政能力を超える補助金が必要となることから「市工業振興条例」は廃止(来年3月末)されます。 また、野洲市では多額の法人税を納めていたIBMが撤退。村田製作所も、国の「大企業優遇税制」の「外国税額控除」により市への法人税納付が極めて不安定となっています。市全体でも近年、法人税収入は落ち込んでいます。このように企業誘致に頼る市財政は不安定な財政運営を生み出します。とりわけ、IT企業に片寄る今回の計画ではなおさらです。 @
よって、安定したまちの発展と活性化について、開発優先・企業誘致中心で、本当にこれらが図れるのか、どうか、その認識についてお聞きします。 A
税収効果をどのように見込んでおられるのか。 2点目に、今回の「企業立地促進法」では、進出企業に特別の優遇措置や支援策を行うとしています。しかし、優遇を受けた企業の撤退について、社会的責任を果たせさせるための「歯止め」措置の規定はありません。つまり、企業の意思と論理が優先されることになっています。事実、先にも言いましたように、IBMは撤退しました。 進出に対して、優遇措置や支援策を行い誘致したからには、企業は社会的責任が伴います。この点、撤退となれば、大きな影響がでるわけでありますが、企業責任を明確にした規定が必要と考えるが、どのように対応されるのか。 3点目に、企業立地で、「まちの活性化を図る」というなら、安定雇用、正規雇用が必要です。しかし、「企業立地促進法」には、このような目標・規定は定められていません。 野洲市の計画でも、「新たな雇用は5000人」といいますが、安定雇用を規定していません。いくら雇用が拡大するといっても、請負や派遣など非正規社員が基本となれば、地域経済の活性化、市民の暮し向上につながらないことは明らかです。 このことは、例えば、大分県旧安岐町、現国東市ですが、デジタルカメラ生産拠点のキヤノン安岐事業所では、従業員2900名の内、2000人が非正規、派遣、請負です。その結果、契約期間の短い人々は安岐町に定住せず、人口は10079人(2000年)から9774人(2006年)に減少。このように、不安定雇用は、税収が伸びず、ひいては地域経済の低迷につながりかねません。 @今回の企業誘致と集積で、雇用は約5000人と言われており、企業立地促進法認可自治体では、ずば抜けた雇用数であります。その多くは村田製作所でありますが、その詳細と根拠についてお聞きします。 A進出企業の雇用について、安定雇用・正規雇用を定める規定が必要と考えるが、どのように対応されるのか。 4点目に、企業誘致とまちの産業構造のあり方についてであります。今回の企業誘致と集積では、2地域でその面積は150fにも及びます。その内、新たに農地が110fです。優良農地がこのように新たな転用を図ることに懸念を持つ市民や農家は多数おられます。この点、野洲市の産業構造の大きな転換にもつながるものでありますが、どのように考えておられるのかをお聞きします。 5点目に、IT産業・企業で懸念される地下水・土壌汚染の危険や地下水の大量使用などの課題もあります。くしくも、今年11月19日、旧IBM工場敷地内において、オムロン株式会社が買収しました、野洲セミコンダクターズの敷地内土壌から、砒素、フッ素、トリクロロエチレンが溶出基準を超える汚染が判明しました。 IT企業特有の懸念される環境汚染・公害の対策について、「環境」を標榜する野洲市としての対応を明確にする必要がありますし、もちろん、企業に対する法的規制・義務はありますが、市として企業に対してどのような公害防止対策を考えておられるのかをお聞きします。 答弁 1点目に、企業も市民の一員であり、共に協働のまちづくりを進めることになり、これが安定した活性化につながる。税収については、現時点では具体の誘致企業がないので詳細な金額は計量していない。 2点目に、企業誘致に際しては、将来とも市の地域経済に貢献してもらえる企業を選択したいが、基本的には企業の経営上の問題であり、市が規定をもって約束させることは難しい。 もちろん、企業は社会的・地域的責任もあるので、誘致企業の撤退という場合になればその都度対応する。 3点目に、新規雇用5000人の内訳は、村田製作所2000人、オムロン1000人、京セラ・ソニーの雇用目標1000人、新たな5件の企業誘致で1000人を見込んでいる。 できるだけ多く正規雇用していただくよう求めていく。 4点目に、工場用地の確保は市街化調整区域に求めざるを得ない。 5点目に、国の環境基準が設定されており、各企業はその防止に努めなければならない。加えて、市では、野洲市の生活環境を守り育てる条例に基づき、市と企業との間で環境保全協定 の締結を進める。 ■中主保健センター事業の存続を 質問 中主保健センターでは、乳幼児健診など、各種保健事業が実施されています。ところが、市の「財政健全化計画」では、経費の削減を目的に、「中主保健センターの有効活用」という名のもと、『中主保健センター事業の年次的、段階的な統合』を打ち出しています。早ければ、平成21年度実施としております。 つまり、「統合」という事は、各事業を野洲保健センターに統合するということであり、もし、このようなことになれば、これまで旧中主町地域で実施されていた、中主保健センターでの乳幼児健診や成人・老人健康事業などが廃止されることになります。 この問題では、合併前、中主保健センターを廃止し、野洲町保健センターに一本化する」協議がされていました。私は町議会で、「『サービスは高い方に、負担は低い方に』の約束に反する」「合併後も中主保健センターで実施すべき」と強く主張してきました。これに対して、田中町長(当時)は、「二極サービス(中主町としてのサービス)の維持」旨の答弁していたものです。 ところが今回、市の「財政健全化計画」で、「中主保健センター事業を統合する」ことを明らかにしたものです。このようなサービス後退は許されません。 @このような地域の保健事業の核を廃止することは許されません。統合の方向を改め、存続すべきと考えますが、見解をお聞きします。 A現在の保健事業の実績と「統合」計画案の内容。 答弁 合併後の、検診業務等の統合化により効率的な財政運営が求められていることから、中主保健センターの有効活用について検討を進めているもので、保健事業の廃止について考えているものではない。 保健事業の実績については、週2回(午前中)母子手帳の発行、健康相談、すこやか相談、おやこ教室、1歳半検診、2歳半検診、3歳半検診、ポリオワクチンの接種、がん検診などの保健事業を実施している。平成20年度も引き続き同様の事業を実施していく。ただし、今後、幼児検診については、効率的な統合を考えている。 ■品目横断的経営安定 質問 国民の食を支えるべき日本農業は衰退が続き、いまや食料自給率は40%を切り、先進国で例のない低水準に落ち込んでいます。 このような農業崩壊を一層すすめたのが、1995年のWTO農業協定の受け入れであります。農業を犠牲にする貿易拡大で、農産物の輸入自由化と価格保障の削減・廃止、価格を市場原理にゆだねる施策など、全面的な農業切り捨てが推進されてきました。このことにより農産物の輸入は、この間、22%増加し、農業産出額は2兆円も減っています。このように、自由化一辺倒の現農政では、農業や農家経営が成り立たないことは、もはやあきらかです。 にもかかわらず、政府は、アメリカや財界の意向を受け、農産物輸入を完全自由化し、残された農業をも一挙に壊滅させかねない危険な道に踏み出そうとしています。このことは、本定例議会に提出されています、請願でも明らかですが、政府は、EPA・経済連携協定をおしすすめ、オーストラリアの交渉でも見られるように、農産物の自由化で日本農業に重大な打撃を与えようとしています。 さらに、政府の経済財政諮問会議は、さらなる改革と称し、農産物関税の撤廃・削減、家族経営を主体とする農地制度の解体などを求める報告を今年5月まとめています。この件では、農水省すら、「関税を完全撤廃したら、農業生産は3兆6000億円減少し、米生産額では90%減、約375万人の雇用が失われ、食料自給率は40%から12%へ低下する」という試算を公表しました。ところが、諮問会議のEPA・農業作業部会では「農業は結構残るじゃないか。いい線だ」と主張するなど、日本農業は異常な域に達していると言わなければなりません。 そして今回、一層の輸入拡大を前提に、「農業の効率的な経営への改革」として、その最大の手段とされたのが「品目横断的経営安定対策」であります。この施策が、アメリカや財界の意向を受け、農産物の自由化、中小農家の切捨てが前提となっている限り、本来、必要な日本農業の再生の道との矛盾は避けられません。 このことは、この間、野洲市でも新たな農業施策に対して、行政懇談会でも、「農業従事者の高齢化と後継者不足で先が見えない。担い手に対する施策をしてほしい」「小規模農家も営農を維持する対策をとるべき」など、深刻な声が寄せられています。また、去る10月13日は、野洲市農業委員会が、市長に対して建議書を提出しましたが、建議書では、「高齢化、担い手不足、農産物の下落などで、農業離れが進み、地域農業の維持が継続が艱難な状況」として、「担い手の確保と育成支援」「農地と環境の保全」「地域農業への支援」を要望する建議をされていまます。このように、いま、行政は、これらの声に応える農政の推進が求められています。 そこで、品目横断的経営安定対策を中心に諸問題について質問を行います。政府が現在すすめる、品目横断的経営安定対策」は、ご承知のように、原則4ヘクタールの認定農家、及び、20ヘクタール以上の集落営農組織の、ごく一部だけを「担い手」にして、多くの農家を助成対象から外そうとするものです。 今年8月に発表されました加入状況は、昨年産の作付面積と比較して、小麦で93%、大豆で77%とされています。また米については、26%とされており、深刻な状況です。これを、野洲市で見た場合、品目横断・認定農家は37戸、そして、集落営農組織は、24組織・27集落であります。よって、多くの農家が対象から外され農業の存続に大打撃を受けるのであります。本来、農業の担い手を増やし、日本農業を守ることが必要なのに、担い手を限定することは問題といわなければなりません。 そもそも、いま農業を取り巻く現状は、本市でも高齢化、後継者不足が深刻です。本市の農業従事者は、平成2年で30アール以上を耕作する農家数は2500戸、これが平成17年度では、1382戸まで減少しています。その主な減少は、1ヘクタール以下の農家です。加えて、品目横断的経営安定対策となれば、一層、中小農家が切り捨てられ、農業を疲弊させるものであります。 次に、品目横断的経営安定対策は、中小農家のみならず、認定農家及び集落営農においても、農業経営に困難をもたらしていることであります。ご承知のように、同対策により、中小農家は補助の対象から外されます。その中で、今年度米価は、大幅な下落で、再生産を保障する価格をも脅かしています。さらに、小麦でも、手数料など経費を差し引くと60キロあたり900円であります。ここに、生産条件不利補正交付金、野洲市の場合、反当り25000円が交付され、また、毎年の生産費、品目に基づく支払い、即ち、「黄ゲタ」は、1表あたり約2000円が交付されますが、これらに生産費やカントリ利用料などを差し引きと、実質、収入が得られない事態であります。 これらのことを考えますと、品目横断的経営安定対策に基づく認定農家や集落営農と言えども、安定経営と収入が得られないことを証明しています。以上、根本的に重大問題を含む品目横断的経営安定対策について、抜本的な見直しが必要であります。以下、質問を行います。 @このような農政にもと、日本農業・本市農業を守るために、市長は政府に.品目横断的経営安定対策を抜本的に見直すべきことを主張すべきでありますが、市長の考えをお聞きします。 A本市の場合、昨年産の作付面積と比較して小麦、大豆、米の品目横断対策の比率はどうなのか。 B同じく、同施策により、外される農家数は。 C政府に主張すべきは主張しつつ、本市として、担い手支援や育成や中小農家の独自支援策・保障制度を実施すべき。 答弁 1点目に、品目横断的経営安定対策は、意欲と能力ある担い手が中心となる施策と認識している。この制度は、収入を保証するものではなく、麦と大豆の生産コストのうち、生産物の販売収入では賄えないと考えられる部分を交付するもので、産地づくり交付金が実収益となる。結果として、品目横断的経営安定対策と米対策が一体に取り組まれことにより、高い効果が得られるものとなっている。なお、現在、国でこの制度の見直しが検討されているので注視したい。 2点目に、平成19年度の対象面積は、小麦と大豆はほぼ100%。米の対象面積は約38%となっている。 3点目に、対象農家は平成19年産の米は82名。これ以外の1619名はこの施策に加入していない。 4点目に、市としての支援策は、今後、国の動向を見極めながら検討したい。 |